何が記憶で何が妄想なのか。

実際の記憶は曖昧で、その曖昧な記憶に自分の都合のいい妄想を付け加える。

時間が経てば妄想なのか記憶なのか曖昧になり、記憶として残る。

嫌な記憶は封印し、楽しかったことだけ思い出す。

私の脳は便利がいい。

私の経験したことが、私の肉体とともに灰になってしまう前に、文字にしておきたい。
なくなってしまうことへの恐怖、不安、後悔。
それらを忘れるために。

１対１である相手の記憶の中に私は存在するが、それは１でしかない。
私は１００以上の経験をしてきた。
１を１００個集めれば１００になるが、私の中にある１００を１は知らない。
１は１であって他の９９を知らない。

今さら経験を文字にせず、墓場まで一緒に連れて行くべきなのかもしれないが、私はそれが堪らなくイヤだ。
家族に知られたくはないが、私を知らない誰かには知ってもらいたいという気持ち。
自分でもよくわからないが焦りにも似た気持ち。

自分が死んだらどうなるのだろう。
死ぬ時どんな気持ちなんだろう。
そして私の頭の中にある経験は誰にも知られることなく灰になるという虚しさ。

死んだ後は野となれ山となれ。
押入れから大量のオモチャが出てこようと、タンスの中からスケスケの下着が出てくようと。
スマホのアルバムには人には見せられない写真や動画がたくさんある。